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東京商工リサーチ、「中小企業金融円滑化法」に基づく返済猶予実績調査結果を発表 [リンクコピー]

総管理者

阿斯顿发

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発表: 2011-12-28 08:14:47 |全階表示

特別企画

全国411金融機関
「中小企業金融円滑化法」に基づく返済猶予実績(2011年9月末時点)
~業績改善が遅れた地方ほど、効果一巡が鮮明~



 2009年12月4日施行の中小企業金融円滑化法は、2012年3月までの期限延長であったが、金融庁はさらに2013年3月まで1年間の再延長の方針を決定した。金融円滑化法と緊急保証・セーフティネット保証が相乗効果を生み、倒産件数は2009年度下半期(10-3月)6,996件から、2011年度上半期(4-9月)6,420件と8.2%減少するなど、中小企業の資金繰り緩和に大きな効果をみせた。
 しかし、中国、北陸、九州など地方では倒産件数が増加に転じ、これまで中小企業の資金繰りを後押ししてきた金融円滑化法の効果に一巡の気配も見えてきた。

 全国411金融機関の2011年9月末までの金融円滑化法に基づく返済猶予の申込件数は、286万8,877件(金額73兆9,121億2,200万円)だった。
 このうち、中小企業向け申込件数は261万1,627件(金額70兆1,026億6,900万円)。実行件数は239万7,340件(実行率91.7%)、金額は65兆1,536億4,300万円(同92.9%)で、件数金額ともに90%超となった。
 謝絶(3ヵ月以上経過のみなし謝絶含む)は、6万2,014件(金額1兆6,174億3,300万円)で申込件数の2.3%にとどまり、審査中は6万8,131件(同1兆7,316億3,600万円)。また、債務者の意思による申込撤回や倒産などによる「取下げ」は8万4,142件(同1兆5,993億3,700万円)だった。
 金融円滑化法が施行され、金融機関は中小企業や住宅ローンの借り手の条件変更(元本猶予、返済期間延長、旧債借換え、DESなど)の申し込みにできるだけ応じるよう努力を求められた。東日本大震災の影響などで2012年3月末まで1年間延長され、一方で金融機関の事務負担の軽減を目的に謝絶理由が200字以内の文章から9項目からの選択など簡素化された。
 本調査は、全国411金融機関(大手8行、地方銀行63行、第二地銀42行、信託銀行8行、政府系金融10行、ネット銀行他9行、信用金庫271金庫)を対象に、法律施行から2011年9月末までの金融円滑化法に基づく条件変更の実績をまとめた。

※411金融機関:1.埼玉りそなを含む大手行(8行)、2.地方銀行は全国地銀協加盟行(63行)、3.第二地銀は第二地銀協加盟行(42行)、4.信用金庫(271金庫)、5.信託銀行(8行)、6.政府系金融(10行)、7.ネット銀行他(9行)。ホームページ及び取材により実績数値を確認。


■中小企業約1割が申し込む
 中小企業(個人企業を含む)の申込件数は261万1,627件、金額は70兆1,026億6,900万円だった。このうち、実行件数は239万7,340件(実行率91.7%)、金額は65兆1,536億4,300万円(同92.9%)で、ともに90%以上を維持している。
 中小企業の申込件数を地区別に見ると、最も多かったのは関東の120万9,836件(構成比46.3%)。次いで、中部41万4,300件(同15.8%)、近畿34万1,267件(同13.0%)、九州15万320件(同5.7%)の順。最も少なかった北海道は5万3,252件(同2.0%)だった。

 仮に、1社が3行に2回、条件変更等を申し込んだ場合、43万5,271社が申請した計算になる。これは普通法人262万1,710社(国税庁2009年度普通法人数)と個人事業者の消費税の納税申告件数139万社(2009年度)と合わせた企業数約400万社に対し、10.8%が申し込んだことになる。単純計算とはいえ広く浸透していることがわかる。
 また、1社で3行と取引し、条件変更等を2回申請したと仮定した場合、申込企業数と個人企業を含む企業数で比較すると、富山県(構成比24.0%)が最も申し込み率が高く、次いで岐阜県(同22.4%)、東京都(同20.1%)と続き、22都府県が10%以上の高水準になる。最も比率が低かったのは鹿児島県(同4.3%)だった。


■中小企業の実行率のトップは中部謝絶は地域差が目立つ
 中小企業の申込件数の実行率は、中部が93.3%(実行件数38万6,688件)で最も高かった。次いで、中国92.8%(同13万709件)、北陸92.0%(同9万3,931件)、四国91.77%(同7万5,762件)、関東91.74%(同110万9,908件)、近畿91.0%(同31万770件)、東北90.3%(同10万6,029件)、九州89.9%(同13万5,154件)の順だった。
 地区別の謝絶率は、九州が3.7%と最も高かった。次いで、東北(3.6%)、四国(3.3%)と続く。実行率が最も高かった中部は2.0%で、九州、東北、四国に比べ謝絶率の低さが目立ち、地域間で金融機関の対応に差が大きいことがわかった。


■地方ほど倒産が増加円滑化法の効果一巡が鮮明
 実行率が最も低く、謝絶率が最も高い九州の2011年度上半期倒産は461件で、2010年度下半期408件に対し53件(12.9%)増加。8県中6県で倒産が増加した。一方、中国は実行率は高いが、2011年度上半期の倒産は262件で、2010年度下半期209件に対し53件(25.3%)増加。5県中4県で倒産件数が増加した。同様に実行率の高い北陸も、2011年度上半期の倒産は179件で、2010年度下半期155件に対し24件(15.4%)増加している。
 倒産が増加した3地区では建設業の倒産が増加している。円滑化法の活用で資金繰りが一時的に緩和しても、売上高や収益が低迷するとその効果は相殺されることを示している。業績が回復しない限り、新規借入も難しい状況下では円滑化法の効果は時限措置に過ぎないことがわかる。


■申込件数トップは信用金庫
 中小企業の申込件数を金融機関の業態別にみると、信用金庫が84万4,909件(構成比32.2%、金額15兆5,724億4,400万円)で最多。次いで、地方銀行が81万7,400件(同31.2%、金額24兆689億3,200万円)、大手行34万4,488件(同13.1%、金額17兆2,895億6,200万円)と続く。
 その他、政府系金融(31万7,413件、金額5兆9,208億2,300万円)、第二地銀(28万1,995件、金額6兆8,992億1,000万円)の順。地方銀行は地場企業と密接な関係にあり、信用金庫は小・零細企業への積極的な対応を反映した格好となっている。
 実行は、信用金庫78万532件(金額14兆4,320億7,400万円)、地方銀行75万1,096件(同22兆4,908億3,200万円)、大手行31万2,812件(同16兆424億7,500万円)など。
 件数の実行率では、信用金庫が92.3%と最も高く、次いで政府系金融(91.9%)、地方銀行(91.8%)、第二地銀(90.9%)、大手行(90.8%)、信託銀行(90.0%)で、ネット銀行他を除く6業態で実行率が90%以上となっている。
 地場の有力企業を中心に取引している地方銀行の1件当たりの申込金額は2,900万円。一方、小・零細企業が中心の信用金庫の1件当たりの申込金額は1,900万円。実行率は90%超で大差ない。


 金融円滑化法は中小企業の倒産抑制に一定の効果を発揮した。しかし、北陸、中国、九州では倒産が増加に転じ、政策効果は薄れつつある。すでに体力に応じて、貸倒引当金の積み増しや債務者区分の見直しを進める金融機関も出始めている。
 中小企業はデフレや円高、東日本大震災、欧州債務危機など、厳しい経営環境で業績改善が遅れている。業績が「実抜計画」と大きく乖離する場合、金融機関の支援を得られなくなる可能性が高い。11月に北陸財務局がまとめた資料によると、条件変更後の業況が「悪化」した企業は21%を占める。単純計算だが、申込企業を約30万社と仮定すると、約6万社が倒産に直面していることになる。これは現在の年間倒産の約4.6倍にあたる。
 企業の経営改善への努力は当然だが、厳しい経営環境にある中小企業への金融機関や政府の支援は欠かせない。金融庁は、金融円滑化法をさらに1年間の再延長の方針を決定したが、今後は単なる延命策にとどまらないソフトランディング策も求められる。中小企業の資金繰りを後押しする一方、先行きの経営改善の実現性を客観的に判断する利害関係のない第三者機関の設置も必要かも知れない。
 業績改善の見込みが乏しい企業では、資産超過は自主廃業、債務超過は倒産も選択肢に入れた判断も課題になっている。中小企業の業績回復に向けた支援と同時に、約5兆円とも言われる隠れ不良債権の顕在化を最小限に抑えるには、これまでにない大胆な発想と行動が必要だろう。

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